今日は基本は大事だぞって話ですが。
仕事の基本ってなんだかわかってます?
- 嘘をつかない?
- チェックを入念にする?
- メモをとること?
- ホウレンソウ(報告・連絡・相談)?
で?ほかは?
出てこない人は、おめでとうございます。
あなたは立派な社畜候補です。
社畜で終わりたいですか?
3ヶ月毎に更新してもらえるかビクビクしたいですか?
これを読めばその向こう側へ行けるかもしれません。
読むか読まないか。
あとは、あなたの判断に任せます。
コールセンターの仕事の基本がわかっていないE君の例
僕が務めていたコールセンターでの話です。
リーダーになってからしばらくしたある日、紹介予定派遣で入ってきたE君。
とにかく声が大きくて、最初はなかなか好感度が高かったです。
そう、最初は・・・
彼が座学終えて、しばらくしてから彼に対する苦情が僕に殺到しました。
- 案内がメチャクチャでお客様から怒られた
- E君が馴れ馴れしいとお客様から怒られた
- 怒鳴られたとお客様から苦情が合った
- E君の残した対応履歴がスカスカで対応ができなかった
- というより対応履歴自体が入っていない!
- 不手際を自分のせいにされた
・・・
実際、対応を聞いてみたところ、
- 誰に対しても、まるで友達感覚。
- タメ口で話して、でかい声で笑う。
- 苦言を言われれば、笑ってごまかす。
- 怒らせれば、報告もせず放置(次に対応する人が地雷を踏む)
- エスカレ(対応の相談)はいつも、「終わった後」
- 業務中にまったく履歴を残さず、業務終了後に思い出しながら入力し、勝手に残業をつける
- オペレーションの手順を守らない、勝手に省略する
・・・
なんじゃこれ。
これが30代のやる仕事か!?
さすがにこれはいかんと思って、話をすることにしました。
何でも、
前職の経験上、自分はていねいに対応するより人間味を出したほうがうまくいくのだとか。
前職でエース級だったのだとか。
前職ではとにかくスピード重視で、間違いは出てきてから修正するのが自分のスタイルだったとか。
・・・
これヤバイやつや。
とみっちり説教しようと思っていたのですが、上から「そんなことするなら1件でもかけろ」と邪魔が入り、そこで終了。
その後、きちんと時間を取って教育するよう、上に何度も進言しましたが、E君は結局放置されました。
仕事の基本の意味を知らなかったE君がその後たどった道
まあ、大体ご想像のとおりなのですが、
- 他のオペレーター全員から陰口を叩かれる
- いつまでたっても成績が上がらない
- ミス件数ぶっちぎり1位を僕が在籍している間ずっと守り続ける
- データ処理など他部署から苦情が来る
そして極めつけは・・・
派遣ではなく契約社員とはいえ、直接雇用で雇われているのに、いつまでたっても普通のオペレーターのまま。
僕ともう一人は派遣の身でリーダーになったというのに。
あの職場での契約社員は、限定正社員とほぼ同じ。
一度なってしまえばカンタンには切られません。
失業はなさそうですが昇進もできないので、給料は上がりません。
あれじゃ、デキル子に抜かれるのも時間の問題です。
年下の上司って・・・経験ないけど・・・気まずいんだろうなぁ。
それに。
実家で暮らしてるうちはいいけど。
一人暮らしでも最低限の生活くらいだったらできるだろうけど。
あの給料では、結婚は共働きじゃないと無理
あの後、どうなったんかなぁ。
E君が踏み外したコールセンターの仕事の基本って何?
彼の踏み外した基本ってなんでしょうか?
一言で言えば仕事が雑だったこと?
・・・まあ、そうなんですけど、それは仕事の基本そのものではなく、仕事の基本を外したために起きた結果です。
根っこはもっと深い、マインドの部分にあります。
コールセンターにかぎらず、仕事をする上での基本。
それは。
- 嘘をつかないとか
- 見直しをきちんとするとか
- ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底するとか
- メモを取るとか
・・・
とかではなくて。
もちろんこれも大切なんだけど。
もっともっと根幹にあるものです。
それは、
その会社にふさわしい仕事をすること
彼の外した基本は、あのセンターで自分に課されていることを理解していなかった、理解しようとしなかったということ。
雑な仕事はその結果生まれたものということです。
はい?ってかんじですよね。
でも、そうとしか言い様がない。
だから、ほとんどの人が理解できないんでしょうね。
もう少し噛み砕くと、
- その会社のブランド・イメージを知り、
- 自分はそれを守り、発展させるためにどんな役割を課せられているのかを理解し
- その職場のルールに合った業務を行うこと
です。
その会社がそのやり方でその業務をするのには理由があります。
一見非効率だったり、自分には合わないやり方だとしても、その理由がわからない限り向こうを優先するべき。
それを理解しないで自分のやり方云々を語るのは、
サッカーで「手を使ったほうがボールを正確にコントロールできる」と言っているのと同じこと。
彼は自分のスタイルで仕事をした方がうまくいく、という認識で自分を押し通しました。
そりゃそうです。
自分に合ったやり方をすれば一番パフォーマンスが高まるのは当たり前。
でも、そうじゃない。
特にコールセンターは、クライアントの下請けとして、そのクライアントのブランド・イメージを背負わなければいけません。
ブランドを背負うことが課せられたミッションだったのに、電話をかけて成約を取るという上辺の部分しか見なかった。
それは電話応対だけでなく、事務作業でも同じこと。
彼は自分の判断で、
- 作業工程の優先順位を決めたり
- やらない作業工程を決定したり
- 報告しないでもいい報告を定義しました
自分一人で製造から流通まで完結する仕事だったらそれでも構いません。
でもあのコールセンターはそうじゃない。
電話をかけるオペレーターがいて、データを処理する部署があって、更に他部署と連携を取る部署があって、その向こうには協力会社がいる。
何かを変えようと思うのであれば、そのすべてを理解した上で了承を取り、統一したルールにしてから実行するべきです。
役割を知った、立ち位置を知ったといえるのは、ここまで考えて理解して始めて口に出せる言葉です。
自分のやり方やら、考えやらを語るのは、その後。
もしここまで至っていないのだったら、余計なことを考えずに正しい仕事を目をつむってもできるまでやり込んでください。
基本を守るのは基本を破って自分のスタイルをつくるため
では、基本に忠実な仕事をすればそれでOKなのか?
いいえ、基本を知り基本を守るのはゴールではなくスタートです。
コールセンターでうまくやっていくコツを一言でいえば社畜になること。
つまり、
- 何を言われてもハイハイ言って
- どんな無理難題にも愛想笑いで愚痴を押し殺して
- 残業をしてもしていないフリをして効率的仕事をアピールし
- 恨まれずトラブルを起こさずに人を蹴落とせる
そういう人です。
基本を守ることで終わる人は、社畜で終わる人です。
だけど、それはコールセンターでうまくやる人であって、その先に進める人じゃない。
あの職場で数少ないデキル人、新卒で入社してわずか1年で新規プロジェクトの立ち上げメンバーに抜擢されたある女の子。
彼女は、基本を守り、それを破り、自分のスタイルをつくって卒業していきました。
やりたい仕事、自分に合う仕事がしたい君に贈る8箇条 の中で「守破離」という言葉を出しました。
- 守~師の教えを守りすべてを身につけ
- 破~教えを破り試行錯誤を繰り返し、自分の型を探す
- 離~自分の型=スタイルを本の教えと同等かそれ以上に高める
武道、職人、能や歌舞伎などあらゆることに言われる習熟のための日本式フロー。
基本を守り、身に付けるのは、それを破るためです。
基本がない人に自分のスタイルはつくれません。
自分のスタイルをつくるために破るものがないのだから。
彼女は立場では下の僕に、何度も何度も指示を仰ぎ、知識を得ようとしました。
どんなに話がこじれてもクライアントのイメージを守りぬき、どんなに忙しくても作業工程を動かしませんでした。
そして、自分が専属でやる仕事を勝ち取り、それが評価され、異例の出世を果たしました。
まとめ
僕もあそこに入った当初は何もかもが非効率に見えました。
でも、そこをグッとこらえて、しばらくは一つ一つの業務の意味を探りました。
その上でいくつか気になる点は許可をとって変えてもらいましたが、変えたらいけないものも相当な数ありました。
必要ないどころか変えたら大変なことになる可能性のあるものも、一つや二つではありませんでした。
コールセンターのオペレーターでいい人も。
その先を目指す人も。
まずは基本、その会社とその仕事を理解してください。
自分は何を望まれてそのせいに座っているのか。
自分が今やっていることには、何の意味があるのか。
なぜその作業をやっているのか。
自分が今守らなければいけないことは何なのか。
30代での転職だろうが、同業種への転職だろうが。
まずは全部捨てて、新しい職場での流儀・ルールに従ってください。
その上で、型を破って自分のスタイルを確立してください。
どれだけ捨てられるか。
どれだけ破れるか。
派遣のまま、更新月のたびにビクビク怯えて生きていくか。
コールセンターのオペレーターで終わるか。
その先に進むか。
自分で選んでください。