何故かクレーム客・炎上客を引いてしまう人がいます。
そういう人は、今日の話をよーく聞いておいたほうがいいですよ。
たいていのコールセンターでは、スクリプトを印刷した紙が手渡され、それを読み上げていけば一応のカッコはつくようになっています。
どのコールセンターでも少しでも成約率をあげよう、クロージングまで持っていこうと、様々な工夫を凝らしています。
- 何をどのタイミング、順番で話すか
- どの言葉、表現を使うか
- 何分で終わらせるか
- 電話でどこまで話し、どこからを資料や訪問に委ねるか・・・
ただ、僕が不満というか、もう少し考えようよと思うのが「最初」と「最後」!
人間の印象は、最初と最後で決まります。
極論を言えば、最初と最後で良い印象を与えていれば、あとはどうでも良いのです。
開始5秒で炎上 最後の5秒でまた炎上
僕の職場のスクリプトでも、たまに自宅にかかってくるセールスなどの電話でも。
98%は必ずこうです!
最初:「お忙しいところ恐れいります。私●●の■■と申します。」
最後:「今後とも●●をよろしくお願い致します。●●の■■がご案内いたしました。」
そりゃ、自分の会社名と担当者名は大切ですよ。
何度も繰り返すことで覚えてもらうのは、ブランドの認知につながるし、次に問い合わせいただく際に自分のことを覚えていてもらえば、対応も楽ですしね。
でも、それってコチラ都合です。
ブランド名なんて、そのサービスや商品が良ければ勝手に覚えてもらえます。
担当者なんて誰でもいいじゃないですか、逆にその人じゃなきゃ対応できないようなコールセンターは組織づくりが間違ってます。
担当者名を覚えておきたいお客様は、自分から名前を聞いてきてくれます。
どの電話でも必ず最初と最後に同じことを言われるから、お客様は慣れてしまって感覚が麻痺しています。
だから、最初と最後こそ好印象を植え付けるチャンスなのに、そのワンチャンスをドブに捨ててしまっているわけです。
こんなスクリプト用意する側も、それになんの疑問も持たないオペレーターも怠慢です。
チャンスを捨てているだけならプラマイゼロだからまだ良いですが、話はそれだけでは終わりません。
どのコールセンターもみんな同じ出だしと同じ終わり方をするものだから、お客様によっては
「お忙しいところ恐れいります」=セールス・勧誘・詐欺 と認識している人が少なくありません。
その結果、「いつもいつも電話してきやがって」「忙しいとわかっているのに電話してくるな」と攻撃的な対応をされ、オペレーターもとっさのことにびっくりしてしまいグダグダ、ひどい時は口答えしてしまって炎上につながってしまう。
大げさじゃありません、実際、週に何回かは上席対応しています。
終わり方も同様。
それまで長時間お客様の時間を奪っていたり、不便をかけていたりしたのに、最後の最後で告げられるのが自社名と担当者名。
不満を感じているお客様に、不満を与えた犯人が「私のことを忘れないで!」と念押しするなんて愚の骨頂。
「何かほかにいうことはないんかい!?」
はい、炎上客の出来上がりです。
その時は何も言わないで終わったのに、別窓口に苦情が入ったり、最悪の場合、消費者センターに連絡が行ってしまうのもこのパターン。
その対応の音源を確認すると、何か失礼なことを言ってしまって、オペレーターはその時にお詫びをしているのにお客様は覚えていない。
お怒りの時にお詫びしても、それが頭に入る人なんていません。
一応冷静さを取り戻した最後の最後に一言お詫びを添えていれば、防げたクレームかもしれないのに、残念です。
最初の切り出しはお客様の第一声を聞いてから
オペレーターさんの中につながった瞬間に話しだす人がいます。
いきなり減点1、いや10です。
顔の見えない電話でのやりとりは、一言一言がヒントです。
まずは、お客様の第一声を聞きましょう。
周りの音がうるさかったり、面倒そうだったり、早口だったら、ご多忙中かも知れません。
【コールセンター仕事術】10秒でアウトバウンドの成約率を86%にする方法や【コールセンター仕事術】成約率の高い戦略的トークのススメで推奨している「■■の▲▲と申しますが、●●の件でお時間1,2分だけよろしいでしょうか?」ですら長過ぎます。
「お忙しいところ大変申し訳ありません。■■の▲▲と申しますが、今お忙しいでしょうか?」
で、終わらせましょう。
愛想よく出てもらえた場合は、時間をいただくことの了解を取ることが第一目標でOK。
ただ、もう一工夫して他社や他のオペレーターとの差別化を測りましょう。
特に決まりはありませんが、
- 「朝早くに恐れ入ります。」
- 「お昼時に失礼致します。」
- 「お夕食時に恐縮でございます。」
- 「夜分遅くに誠に申し訳ございません。」
といったように時間ごとに出だしを変えると、しっくり行くことが多いです。
おそらくですが、「この人はこちらの事情を考えてくれているんだな」という印象につながっているからと思われます。
もう一つ注意しなければいけないのは、次にこちらが名乗った次の瞬間。
営業が取ってきた契約を引き継いでの連絡をする業務などだとやらかしてしまうのが、「こちらのことを知っている前提」で話を始めてしまうことです。
「●●の件でお伺いのお日にちのご相談でしたが・・・」なんて言い出したら、オイオイオイになってしまいます。
お客様は、
- なんとなく申し込んだだけかもしれません。
- 検討は了承したが申し込んだつもりはないかもしれません。
- 本人の名前だけど、決定者は別の方かもしれません。
こんな時のために、
「●●様のお名前で■■でお申込みいただきました▲▲という×××のサービスに関するお話でございますが、今お時間1,2分だけよろしいでしょうか?」
といった、誰が聞いても「誰が、誰に、どうして、何をするために電話してきて、どれくらい時間がかかるのか」がわかる言い回しを用意しておくと良いでしょう。
最後は「次に起こして欲しい行動」を伝える
「次に起こして欲しい行動」を具体的にイメージしているオペレーターさんって見たことがありません。
あなたも「良い印象を持って欲しい」くらいにしか考えていないのではないでしょうか。
もっと具体的に
- 「自分の対応に好意を持って欲しい」
- 「自社のサービスの便利さを認識して欲しい」
- 「必ず近いうちに連絡が欲しい」
- 「自分の対応ミスを許して欲しい」
といったように、深く・狭く追求しましょう。
例えば・・・
考えてみてください。
今、あなたの願いが何でも叶うとしたら、何を願いますか?
たった27文字ですが、めっちゃ考えますよね。
最後の一言はそれに近いくらいの力を持っています。
- 「(季節の言葉を添えて)ご自愛くださいませ。」で終われば、好意を持たれやすくなります。
- 「本日発送させていただきます。」で終われば、早いな、便利だなと思ってもらいやすいです。
- 「期限が差し迫っておりますので、すぐのご連絡をお願い致します。」で終われば、早い返事をもらいやすくなります。
- 「このたびは申し訳ございませんでした」で終われば「まあしょうがないな」と思ってもらいやすくなります。
それなのに誰が相手でも「今後とも●●をよろしくお願い致します。●●の■■がご案内いたしました。」でいいのでしょうか?
勘違いしないで欲しいのですが、
「次に起こして欲しい行動」はオペレーターが独断で決めていいものではありません。
コールセンターのスタンス、自分の対応、その後のオペレーターへの引き渡しなどによって、お客様ひとりひとり変わってきます。
わからないなら上司に聞いてください。
特に「コールセンターのスタンス」は、プロジェクトリーダーやマネージャーに聞いてもいいくらいの内容です。
それが周知されていない、聞けないのは問題です。
特に、ほとんどいないならともかく、いるのに聞けないというのであれば、そこは残念なコールセンターと言わざるを得ません。
さあ。
明日一人目のお客様、第一声は何をいいますか?