普段は流し読みする程度のYahoo!ニュースに、思わずクリックしてしまったニュースがありました。
それがコチラ。
全労働者必読! 仕事で私が壊れる 人生を搾取する「全人格労働」
なんかね。
数年前、ブラック企業で正社員やってた頃のことを思い出して涙ぐんでしまいました。
・・・といいつつまた涙腺がヤバイ。。。
具体性に欠けるフワッとした提言になりますが・・・
仕事のために人生があるんじゃありません!人生のために仕事があるんです!!
一度しかない人生、自分のために使ってください!!
全人格労働に人生を搾取されないために。
今すぐにやりたいこと・叶えたいこと・譲れないもの、自分が生きる意味を書き出して毎日守れているかチェックしてください。
子供の夏休みの宿題みたいだけど・・・難しい心理学や自己啓発本を読むよりよっぽど効きます!
生きる意味を忘れそうになったら、それを見て思い返してください。
人間、死んだら負けです。
生物学的には生きていても、心が死んだら殺されたのと同じです。
生きてください。
人生そのものを蝕ばむ「全人格労働」とは?
もともとは産業医の阿部眞雄さんという方が書いた快適職場のつくり方という本の中で登場した言葉のようです。
労働者の人生や人格をすべて投げ打つ働き方という意味でつくられた言葉だそうです。
それを象徴するエピソードが今回Yahoo!ニュースに上がった仕事で私が壊れる 人生を搾取する「全人格労働」に書かれています。
今年1月。東京都足立区のJR綾瀬駅でホームから人が転落し、駅の約300メートル手前で電車が緊急停止。約15分後、停車していた車内から40代男性会社員が電車の窓を開けて線路に降り、綾瀬駅に向かって歩き出すという出来事があった。男性の行為で、別の線路を走るJR常磐線快速電車や直通運転している東京メトロ千代田線も一部区間で最大1時間運転を見合わせ、10万人以上に影響が出るトラブルになった。
男性はなぜ線路に降りたのか。駅員に保護された男性は「会社で大事な会議があり、遅れられなかった」と説明したという。「大事な会議」という会社の論理に惑わされ、社会のルールを破った男性に対し、ネット上では「まさに社畜」「この人は奴隷か?」「日本社会の狂気を凝縮したような話だ」などというコメントが寄せられた。
もう一つ。
担当者は顔を近づけて、キスを迫ってきた。機嫌を損ねたらうちの商品を扱ってもらえなくなるかもしれない――。
頭に、夫や子どもの顔が浮かんだが、すぐに「なんでお前は注文をもらえないんだ」と責める上司の顔にかき消され、目をつぶってしまった。
支店にいる女性は自分だけ。誰にも相談できずに泣き寝入りするしかなかった。そうするうちに担当者のセクハラはさらにエスカレートし、「枕営業」を強要された。機嫌を損ねないようにやんわり断っていたが、ある日、強引にホテルへ連れ込まれ、関係を持った。
2本目は安定の捏造AERAだから創作かもしれないけど。
なんかもう、やりきれん。。。
自分が数年前にそうだったから。
言葉の暴力だけじゃなく、物理的な暴力が日常化してて。
1日20時間くらいキーボード叩いてて。
仕事はじめてしばらくすると熱が出てくるから罵倒されながら会社近くの病院に行って自腹で点滴打って。
電車乗ったらゲロ吹くから、これまた自腹でタクシー出勤してたあの頃。
親に心配かけて。
嫁さんずっと一人ぼっちにして。
心も体もボロボロにして。
・・・ホント、何やってたんだろ。
って今は思うんだけど。
当時はそうは思わなかった。
それが怖い。今思い出すと震えてくる。
辛い、辛いといいながらも・・・まぁ実際辛いんだけど。
人生とか、家族とか、友だちとか、いろいろなものを搾取されつづけているのに。
差し出しているのは誰でもない自分なのに。
そのことに気づかない。
まるで別の人格に体も心も乗っ取られたみたいに。
それが全人格労働の怖いところ。
全人格労働・・・ホント、よく出来たネーミングだと思う。
一冊も本読んだことないけど。
阿部眞雄さん、センスあると思うよ、ホントに。
全人格労働は”文字通り”人から「全人格」「全人生」を奪っていく
超絶ブラック企業で心も体もボロボロになった僕は、その後めでたくうつ病を発症して、めでたく1ヶ月の入院。
時間だけはたっぷりあったから、自分の人生記憶のある分を全部振り返った。
なーんも思い出せんかった。。。
子供の頃何が好きだったかとか。
夢ってなんだっけとか。
好きな食べ物とか。
なんで結婚したんだっけとか。
まったく出てこない。
その時になってようやくことの重大さに、奪われたものの大きさに気がついた。
正直、ホンマに申し訳ないんだけど・・・毎朝6時に起きて出社前に見舞いに来てくれる嫁のことを顔見知り程度にしか感じられなかった。
それでも嫁は毎日着替えやお菓子を持ってやってきては、色んな話をして勝手に笑っては帰っていくことを1日足りとも欠かさずに続けてくれた。
あの頃の嫁は、どんな気持ちで僕を見舞ってくれたんだろう。
聞けば答えてくれるんだろうけど、なんか聞けずにここまで来てしまった。
1週間、2週間・・・
少しずつ嫁につられて笑えるようになった。
食べたいものが一つ、二つ思い浮かぶようになった。
嫁との思い出が一つ、二つ思い浮かぶようになってきた。
二度とあの会社には戻らないことを誓った。
1ヶ月後、退院。
入院中も何度か帰ってはいたけれど、久しぶりに帰った家は本当に居心地が良かった。
そんなことがあったのに・・・超絶ブラック企業を辞めたのは結局それから1年後だった。
「お前が必要だ」「みんなお前を頼りにしている」うんぬん、ぬるい言葉に踊らされて・・・あの頃の自分に蹴り入れたい。。。
結局、もう一度人生奪いつくされる前に、友人が止めてくれた。
退職届を郵送で送りつけて、一度も出勤せず、一言も話をせずに辞めた。
参考 ブラック企業を辞めたい人へ。一言も話さずに辞める方法。
もう少し遅かったら、取り戻せなかったかもしれない。
あれから数年。
長い長い時間がかかったけれど、ようやく自分の人生を歩いている実感を持てるようになった。
全人格労働は文字通り、その人の人生そのもの、人格そのものを搾取していく。
一度でも全人格労働に目をつけられた労働者は何度でも搾取される。
やったことないけど、おそらく麻薬やめるのと同じくらい強い意志を持たないと抜け出せない。
全人格労働にあなたの人生を搾取されないため、今すぐにやるべきこと。
長い前置きでごめんなさい。
ようやく本題です。
全人格労働をしないために。
全人格労働と決別するために。
自分の人生で譲れないものを、仕事が侵害していないか常に見張りましょう。
アナログで、誰でも考えそうな、ごくごく当たり前の。
「こんだけ引っ張っといてそれかよ」とか怒られそうな方法だけど。
実際に全人格労働に殺されかけて、そこからここまで回復できた身としては、結局これが一番だと思うのです。
1.仕事より大切なものをすべて紙に書きだしておく
- 家族と夕食を食べること
- 子供の授業参観にいけること
- 恋人との同棲に笑顔が絶えないこと
- 猫と遊ぶ時間があること
- 週に一度はサーフィンにいける時間と体力があること
- 休日は携帯が鳴らないリラックスした状態で釣りに没頭できること
- 年に1回普通日に有給とって海外旅行にいけること
- 残業のないアフター5の自由な時間
- 本当にいいモノ・良いサービスだけをお客様に勧める
- 人として、誰に対しても恥ずかしくない仕事をする
・・・
どんなことでもいいですし、何個でも構いません。
大切なものは人それぞれですから、「こんなこと・・・」なんて思わないでいいです。
家族以外には誰にも見せないのですから、思いつくものはすべて紙に書きだしておきます。
思いつくものはどんなに小さなことでもすべてです!
全人格労働に巻き込まれると、忘れてしまいます。
小さなことはもちろん、「これが俺のアイデンティティだ!」という忘れっこないと思っていることもきちんと書いておきましょう。
書き終えたらクリアファイルにでも入れて、枕元に置いておいてください。
2.毎日見る
書きっぱなしでは意味がありません。
「毎日」見ましょう。
全人格労働はボーダーレスにやってきます。
「これから譲れない部分を侵しますよ」なんて教えてくれません。
いつの間にか忍び寄り、気がつけば人生を根こそぎ蝕む。
それが全人格労働です。
毎日読み返し、「できていないこと」「できなくなったこと」がないかチェックします。
もし見つかったら、すぐに対策を立て、実施します。
例えば、休日出勤のせいで家族との予定をキャンセルせざるをえなくなってしまったら。
- 自分のスケジュール管理に漏れや不備はなかったか確認し改善する
- 自分しかできない仕事をマニュアル化しておく
- 同僚の残業や残務をフォローし、いざというとき変わってもらえるよう根回ししておく
- チーム・部・課・支店や営業所・会社全体の仕事の進め方に改善を提案する
・・・
という具合です。
これも改善策を実施したら、必ずその効果を検証します。
1のリストが侵されなくなったことを確認するまで警戒を解いてはいけません。
毎日のチェックは寝る前がオススメです。
「譲れないもの」が守られて一日が終わったことに感謝してから寝ることを繰り返すと、何気ない毎日の大切さを忘れずに済みます。
3.「譲れない大切なものリスト」を定期的に棚卸しする
子供が家を出たり、仕事へのモチベーションに変化があったり、健康面での不安が出てきたり・・・
人を取り巻く環境、そして自分自身には常に変化があります。
必ず「譲れない大切なものリスト」は定期的に棚卸し・更新するようにします。
- きちんと守られているか
- 増やす項目はないか
- 減らす項目はないか
・・・
なんとなくのダラダラチェックでは大事なことを見落とします。
「変更があるもの」という疑いを持って、しっかりと見るようにしてください。
ちなみに・・・
「何かあったらその都度リアルタイムに更新するよ」
ダメです!
言ったでしょう?
全人格労働の侵食は静かに、「ダルマさんが転んだ」のように静かに、ジワジワと、気づかないうちにやってきます。
と同様に、人生の変化も気づきにくいものです。
カレンダー通りに仕事をされている方でしたら、毎月最終日曜日に夕方など。
シフトでお仕事をされている方でしたら、毎月の最終休日の夕方など。
必ず時間の取れる日に予定を入れましょう。
子供の習い事かってくらい幼稚に見えますが、それくらいシンプルでカンタンじゃないと、続かないのが今の超多忙社会。
続かないならどんなに立派で緻密な計画・手法も意味がありません。
気づかないうちに心も体もボロボロになって、家族もバラバラになった上で会社に捨てられたら最悪の場合、再起不能です。
自分の人生を侵害されていることを認識し、是正策を取っていれば、うまく修正できなかったために「退職」という選択をする際にも最低限の準備をした上でその時を迎えられます。
・・・何より、「退職」という選択肢があることを忘れずに済みます。
全人格労働の一番の一番、本当に怖いことは「退職という逃げ道があることを忘れてしまうこと」です。
まとめ
数年前。
超絶ブラック企業を命からがら逃げ出した時は、僕も「譲れないものリスト」を作って、家のホワイトボードに貼って毎朝見てました。
今は変色がひどくて捨ててからは新しいリストは作っていません。
今の僕の「譲れないものリスト」の代わりは嫁です。
嫁が笑っていれば大丈夫。
不機嫌そうだったり心配そうな顔をしていたら、嫁の調子が悪いか、僕がどこかおかしい → 警告信号。
人生に仕事は必要ですが、人生より大切な仕事なんてこの世には存在しません。
少なくとも、僕はそんな仕事見たことも聞いたこともないです。
自分を変えるか、職場を変えるか、それとも転職するか・・・
全人格労働に陥った際、それをどう修正するかはその人自身と、置かれた環境によって千差万別。
時間はかかるかもしれないけれど、変化に気づいて手遅れにならないうちに手を打てば最悪のシナリオは回避できます。
だけど、自分が全人格労働に陥っていることに気づかなければ、手の打ちようがありません。
たった一度の人生。たった一人の大切な人。
しっかりと見つめてあげてください。
追伸
僕の場合は超絶ブラック企業のせいで人生を棒に振るところでしたが、「全人格労働=すべてブラック企業のせい」ではありません。
悪意のない無意識につくられた環境によって起こる可能性もあれば、自分自身の仕事の考え方や習慣等によって引き起こされる可能性もあります。
よくよく考えて「仕事=人生、人生において仕事こそが至上」という方であれば何も申し上げることはありませんが、そうではない人は今日、今から少しだけ時間をとって考えてみてください。