今、派遣でお仕事をされている方。
あなたは、2015年9月30日から始まった新しい派遣法で、派遣社員は死ぬまでモノ扱いされることが合法化されていることをご存知でしょうか?
- 将来を見据えてつなぎで派遣社員をやっている人
- 家計の足しに派遣を使っている人
に申し上げることはありませんが、それ以外の人は今すぐ転職活動を始めてください。
転職には平均2.1ヶ月かかる上、5人に1人は3ヶ月以上の長期戦を強いられています。
参考 データで見る初めての転職「転職活動期間は、みんなどれくらいなんだろう」(@type)
脅すようで大変気が引けるのですが、これが現実です。
僕も実際にやって、30代の転職活動の厳しさを突きつけられました。
忙しいとは思いますが、今日だけはあと10分だけお付き合いください。
【おさらい】派遣を地獄にたたき落とす「改正派遣法」とは?
政府の皆様は僕らの税金でお給料もらっているはずなのに、僕らに何の確認もせずに法律を変えてしまいました。
参考 改正労働者派遣法が施行 企業の使い勝手向上(琉球新報)
2回も廃案になっているのに復活するとか、バイオハザード級のしつこさです。
のびのびになっていましたが、ついに2015年9月30日から始まってしまいました。
一言で言うと「企業がより派遣社員を雇いやすくする法律」です。
何がどう変わったのか、36歳元派遣労働者である小鳥遊がわかりやすくまとめさせていただきます。
派遣事業の健全化
派遣事業から特定派遣事業(届出制)がなくなり、一般派遣事業(許可制)だけになりました。
要するに
届け出さえすれば誰でも派遣会社を営業できた
→2000万円以上の資産規模を持ち、講習受けて、許可取らないと派遣会社を営業できなくなった
ということです。
裏で不正をする業者が後を絶たないため、行政指導を行き届かせるためにこうするのだとか。
特定派遣事業はITや製造など特定の業種に限られますが、常時雇用を前提に人を派遣していました。
しかし一般派遣事業だけになるということは、派遣を常時雇用しなくてよくなります。
スキルを持っているから(形だけとはいえ)常用雇用されていたのが、どんなスキルを持っていようと仕事があるときだけしか給料がもらえなくなりました。
忙しい時だけ派遣を雇い、必要なくなればクビにして人件費カット!
それが全職種でできるようになったわけです。
派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ
派遣会社に教育訓練やキャリアコンサルティングが義務付けられます。
あと、派遣期間が終了した派遣労働者に雇用継続するための措置が義務付けられました。
派遣元が違反すれば、営業停止・許可取消で厳しく指導するとのこと。
教育訓練ですか。
そんなものが役に立ちますか?
中途採用者に企業が求めるのはあくまでも現場での実務経験。
よっぽど威厳のある資格でもなければ、まずプラスにはなりません。
ORACLE MASTERの受験料と学校の受講料全額負担してくれるんでしょうか?
次の雇用継続は、
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供
- 派遣元での無期雇用
- その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置
を指します。
1はまず無理でしょうね。
2は・・・また最安値で雇われて3年たったら交代ですか?
3は・・・派遣会社の担当者さんと同僚になるのか(笑)
4・・・何!?
労働者派遣の位置付けの明確化
厚生労働大臣は労働者派遣法の運用に当たり、派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する。
厚生労働省 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要」より抜粋
要するに、派遣社員は調整弁、必要な時だけ使う一時的な人材ということです。
・・・はい?
派遣は調整弁・・・そんなわかりきったこと改めて定義されたら、照れるじゃないですかwww
実際、そういう扱いを受けています。
改めて「必要なときに雇って、いつでも辞めさせられる企業に都合の良い仕組みづくりをしていくぞ!」という意思表明をしているのでしょうか。
だとしたら、趣味悪いです。
より分かりやすい派遣期間規制への見直し
- 一部業務は3年以上派遣を雇うことができたが、これからは最長3年に統一(抜け道あり)
- 派遣先の同じ課では同じ派遣社員は3年しか雇えない
これが今回の派遣法改正の目玉!
新しい派遣法では、人を変えるか部署を変えればずっと派遣を使うことができるようになりました。
つまり、
- 派遣社員のA君が3年働いた
- もう「派遣そのものが」使えない
- 新しく直接雇用の社員を採用すると色々お金がかかるから、ここまで育てたA君にこのまま働いてもらおう
- A君、めでたく直接雇用(非正規だけど)
となっていたのが、
- 派遣社員のA君が3年働いた
- 派遣だったらいつでも切れるよなぁ
- 派遣だったら社会保険料も交通費もボーナスも福利厚生費も払わなくていいんだよなぁ
- あ、人さえ変えればずっと派遣を使えるんだったわ
- よし、人を変えよう!
となってしまうわけです。
派遣元には直接雇用を依頼する義務がありますが、派遣先にそれを受ける義務はありません。
1円でも人件費を削らないと会社が潰れてしまう時に。
必要なときだけ格安で人を雇える仕組みがあるのに。
わざわざ高いお金払わないといけない直接雇用なんてするわけがありません。
派遣労働者の均衡待遇の強化
要するに、派遣先の正社員と同じことをやっているのだったら、同じ賃金を払えということです。
ただし!
違反しても特に罰則はありません。
そもそも、正社員と同じ仕事なんてさせてくれません。
派遣社員に、社員より責任の重い仕事を派遣プライスでやらせている悪徳派遣先は多々ありますが、そんなものどうとでもなります。
厚労省さん。
詰めが甘いよ。
検討規定
- 改正された派遣法が施行されて3年たったら見直し検討!
- 何かあったらすみやかに改善することを検討する
ということが書いてあります。
不祥事件数ぶっちぎりのナンバーワンの厚生労働省さんが本当に正確な検討をして、問題を解決してくれるでしょうか?
ナンバーワンじゃないかもしれませんが、民間企業ではありえない浮世離れした不祥事をファンタスティックにやってのける不祥事ファンタジスタ 厚労省様ですよ。
ないわ~。絶対ないわ~。
今回の派遣法改正のポイント
人さえ変えれば企業は派遣を使い続けることができるようになった
必要なくなれば3ヶ月我慢すれば派遣社員との契約を打ち切ることができる
★3年経てば自動的にクビにして人を入れ替え、永続的に安い人件費で労働力を確保できるようになった
ということに集約されます。
こんな使い勝手のいい労働力が人さえ変えれば永久に使えるようになるのに、わざわざ直接雇用や正社員にしようなんて物好きな企業がどこにあるでしょうか?
この不況のどまんなか。
僕が経営者だったら絶対に正社員なんか雇いません。
だって3年たったらクビ切って新しい人入れるだけで年間1人何十万円浮くんですから、こんなウマーな話、そうそうありませんって。
三年経てばクビ。
↓
実務経験がないから正社員では仕事が見つからない
↓
再び派遣社員に戻る
という牢獄に派遣社員を永遠に閉じ込める素晴らしい仕組みが出来上がりましたwww
わかりやすくまとめてくれたサイトがありますので、コチラもどうぞ
参考 派遣法改正とは(非正規労働者の権利実現全国会議)
派遣社員のつらさは語るまでもないでしょう?
- クレジットカードを作る時に審査が通るかわからない不安
- 昇給なし・ボーナスなし・交通費なしで、結婚も子供も旅行も諦めなければいけない屈辱
- 3ヶ月ごとにやってくる契約打ち切りの恐怖
- 派遣用に用意された単純作業を毎日繰り返す、砂を噛むような虚しさ
- 「派遣だから」という理由だけで人間として扱われず、笑われ、見下される不条理
そんな毎日にいつまで耐え続けなければいけないのですか?
尊敬語と謙譲語の違いも分からない小僧、小娘には安定と生きる喜びを噛みしめる権利があるのに、こんな格差を受け入れる理由なんてありますか?
もちろん派遣が正社員に這い上がるのは容易なことではありません。
派遣法が改正されてしまった今、残念ながら奴隷脱出はかなりの困難です。
でも企業が、景気回復の幻想に踊らされている今ならまだ潜り込めるチャンスがあります。
あの頃。。
僕も同じように就職活動に明け暮れていました。
何十社エントリーしても書類すら通らず、貯金が底を尽き、やむなく派遣生活が始まりました。
でも、今は空前の人手不足。
30代・40代の凡なおっさんでも、書類は通ります。
実際、2015年1月から3月は、9年ぶりに正社員が40万人規模で増えています。
参考 「アベノミクスで格差が拡大」は本当なのか(東洋経済オンライン)
今が。
そう、今が。
奪われ続けた【人としての尊厳】を取り戻すラストチャンスです。
派遣からの転職が「今しかない」理由
「今しかない?大げさなんだよ」
と思うでしょう?
僕も文面見返すと、ちょっと煽り過ぎかと思います。
でも、これが今、派遣からの転職をくぐり抜けた僕の偽らざる実感です。
・・・派遣法改正前であれだけ厳しかったんだから、今はもっと厳しいです。
ただ・・・
世間では悪の化身みたいに報道されている派遣法改正ですが、僕は一概に責められるものではないと考えています。
だって
- 一定数の労働者を派遣に縛らないと、企業が潰れちゃうから。
- 企業に派遣を受け入れてもらわないと、完全失業者が溢れかえってしまうから。
- 派遣で雇用を増やさないと完全失業率が上がり海外からの評価が下がってしまうから
海外からの評価が下がると、日本株買ってた投資家が資金を引き上げてしまうので、企業がお金使えず不景気になってしまいます。
誰かが派遣で働かなきゃ、日本経済は回らないんです。
派遣の仕事は、つなぎや家計の足しを目的にしている「派遣で良い人」がやるべきであって、家計を支えなきゃいけない人がやむを得ず就くものであってはいけません。
前述のとおり、確かに正社員は増えています。
でも、拾い上げてもらえたのは・・・
総数全国約200万人から見れば、ほんのほんの一握り。
取り立ててスキルのない僕のような派遣社員が潜り込める席は相当少ないです。
それに・・・
企業はあの不況を忘れてはいません。
必ずといっていいほど、、
- できるところは非正規労働者で。
- 正社員は出来る限り、従順かつ低賃金で雇える新卒で。
というようにリスク対策重視の人事活動を続けています。
僕ら転職組は今でさえ、新卒との間に年齢という絶対に埋められないハンデを背負っています。
そしてこのハンデは1年ごとにその重みを増していきます。
過去、正社員として働いたことがあり、同じ業界での就職を狙っていればまだ経歴は武器になるかもしれません。
しかし、職歴がずっと派遣や契約、アルバイトといった非正規の場合、何の武器も持たずに、新卒が埋め尽くした採用枠の僅かな余りを、他の転職者と奪い合う形になります。
席はいつ埋まってしまうかわかりません。
そして、今こうしている間にも重みを増し続ける年齢という足かせ。
だからこそ、30代・40代の転職活動は早い者勝ちです。
今動かなければ、一生を貧乏派遣で終える可能性が極めて高いです。
ラストチャンスを掴むためには、今すぐ動くしかない
さんざん煽ってきて申し訳ありませんでしたが、もう終わります。
早いもので、僕が転職活動は始めた日が昔に感じます。
派遣社員に嫌気が差して、仕事辞めてから活動を始めました。
・・・今思えば、無茶なことをしたものです(遠い目)。
正社員への第一歩は、今すぐ転職エージェントに登録することです。
どうせ全部無料ですから、ありったけ登録してください。
ちなみに僕のオススメはワークポート。
リクナビさんには「該当求人なし」と切り捨てられましたが、ここは土日以外毎日面接にいけるほど求人があります。
電車代・写真代・履歴書代・・・いろいろかかりますが、何かできることがある、動ける、チャンスがあるというのは本当にありがたいことです。
詳しくは別記事で書きましたが、まだ利用者が少なく、1人1人に多く時間を割いてくれます。
優良案件が手付かずで残っていることもあるので、絶対に外せない転職エージェントの一つです。
参考 【転職活動日記】大阪のワークポートは30代でも受けれる就職先があります。
今日はいつもと毛色の違う売り込み臭の強い記事で戸惑った人もいるかもしれません。
でも、せっかく縁あってこのブログを見てくれた派遣の方に、一人でも多く、手遅れになる前に行動してもらおうと思い筆をとりました。
勝利報告、悩み、うまくいかないイライラ。
何でもコメントに残してくれると嬉しいです。
先輩風を吹かせるつもりはありませんが、出来る限りのアドバイスはしたいと思っています。
では今日はこの辺りで。
あなたにとって今年が人としての尊厳を取り戻した忘れられない1年になることを、心から願っています。