資生堂ショック。
それは女性というだけで優遇される性差別社会の終焉を告げる鐘。
化粧品業界ぶっちぎりのトップ「資生堂」。
過半数の従業員が女性で、東洋経済オンラインが発表した「女性が働きやすい企業ランキング」でも2位を獲得するこの企業が・・・
育児を理由にぬるま湯に浸かっていた女性にイエローカードを出しました。
資生堂不買運動やらマタハラやら、ネット上では一部のあまちゃんたちが寝ぼけたことを抜かしてますが・・・
「ちゃんと働く人にはちゃんとした待遇を用意します。そうじゃない人はそれなりの対応です。」と言ってるだけなのに、何でそんなにファビョるんでしょうか。
今回僕がこのネタを取り上げる理由はもう一つ。
「子どものいる資生堂社員だけの話」では収まらない可能性が高いからです。
女性に優しい企業の代表とも言える資生堂が毅然とした態度をとったことで、これまで過剰に女性を優遇してきた他の企業も「よし、じゃあうちも必要以上の優遇はやめよう」と後に続く流れが起こる可能性が大です。
それは子どものいる女性社員の産休や育休だけではなく、仕事内容や人事評価の基準にも影響するでしょう。
女性の皆さん。
あなたは今、会社から戦力外通告を出されてもやっていける自信、ありますか?
東大卒が非正規から抜け出せない中、あなたは数年以内に正社員になれるでしょうか?
今の時代、専業主婦を養える収入のある男性は、あなたによっぽどの魅力がなければ射止めることはできません。
共働きじゃなければ生活できない家庭だったら、家庭崩壊にもなりかねません。
一生貧乏暮しをするか。
何か手を打つか。
脳みそから血が出るくらい考えないと、後悔することになりますよ。
何もなければそれはそれでめでたいですが、何か起こってからでは遅いです。
一寸先は闇の現代、準備のしすぎということはありません。
資生堂ショックとは何か?~ニュースを見ない人のためのおさらい
事の始まりは日本経済新聞で今年の6月29日の記事で取り上げられた資生堂の方針。
14年春から1万人のBC(美容部員)を対象に育児中でも夜間までの遅番や土日勤務に入ってもらうという。
20年以上前から育児休業や短時間勤務制度を導入し「女性に優しい会社」の評判を築いてきた資生堂。なぜここにきて厳しい態度に転じたのか。
日本経済新聞 6月29日記事より引用
その時は僕も特に気に留めていなかったのですが・・・だって当たり前のことですからね。
世間も同じように大した関心を払うこともなくスルーしていました。
それが一躍注目を浴びたのはNHKが昨日(11月9日)に「おはよう日本」内で取り上げたから。
ざっとまとめると
- 2013年に資生堂の人事部は子育て中の美容部員にDVDを送付した
- DVD冒頭で役員が「育児制度に甘えるな」と警告を発した
- ほかの社員同様、1日18人の接客ノルマ達成と、繁忙時にあたる土日や夕方以降の遅番シフトにも入るようにとお達しが出た
ちなみに「資生堂ショック」というキャッチフレーズが初めて登場したのはAERAの2015年8月3日号。
雑誌らしいなかなかインパクトのあるフレージング、なかなかのセンスです。
まあとにかく、そんなこんながありまして。
例によってネット上は、大とまではいかないけれどソコソコ炎上。
反対派と賛成派がヤンヤヤンヤ・・・で今に至っています。
資生堂ショック反対派に考えてほしいこと
まず最初に断っておきますが・・・
僕は不当な女性差別、マタハラは絶対反対派です。
同等かそれ以上の能力があるのに「女性」というだけで冷遇したり、攻撃するような男はみんなまとめて死ねばいいと思ってます。
ただ・・・資生堂ショックに関してだけ言えば反対派はちょっと甘えっ子さんかなぁと思います。
資生堂が扱うのは化粧品、女性(今は男性も?)を対象にした接客業です。
その社員が一番忙しい繁忙期・繁忙時に仕事をしないというのは変じゃないですか?
民間企業は何にもしなくても税金でウハウハなお気楽団体ではありません。
モノやサービスでお客様からお金を落としてもらわなければ潰れてしまいます。
そして社員(もちろん正社員だけではなく非正規労働者もです!)は所属する企業の利益に最大限貢献する義務があります。
子育てをしているというのは個人の都合。
嫌なら辞めればいいだけの話です。
資生堂が退職を認めず、労働だけを強要しているのだったら問題ですが、選択権を与えています。
そして実際、30人ほどのBC(美容部員)はこれを機に退職という道を選んでいます。
何か問題があるでしょうか?
女性の働きやすさを確保するのが少子化対策だとか何だとかいう意見もあるでしょうが・・・
それで未婚女性や男性にしわ寄せがいって商品やサービスの質、ひいては企業そのもののモチベーションが下がってしまっては意味がありません。
それをやるのは国です!
そして・・・
資生堂は子育て中の女性社員に他の社員同様の働き方を求めたことを差し引いても、十二分な支援を行っています。
いっぱいあるので一部だけの紹介となりますが・・・
事業所内保育所「カンガルーム汐留」
首都圏だけになりますが、資生堂は事業所内に託児所を用意しています。
しかも空きがあれば近隣の企業にもそれを貸し出しています。
なかなかの社会貢献ぶりじゃありませんか。
育児休業が5年
育児・介護休業法では子どもが1歳2ヶ月になるまでと定められている育児休業ですが・・・
資生堂では5年とれます。
しかも特別な事情があれば3回まで取得可能。
会社に1円も利益を落とさない人に、満額ではないとはいえお金を払い続けるのは企業にとって相当な負担です。
しかもそれを5年です。
資生堂の場合、時短や育児休業で空いた穴を「カンガルースタッフ」と呼ばれる代替要員で埋めています。
・・・要するに、非正規労働者です。
交通費は出るようですが、時給1,200円~1,550円で昇給・賞与・褒賞金・退職金・餞別金等は一切なし。
必要がなくなればハイ、さようならの調整弁です。
・・・子育てママBCの育休・時短は、いつクビを切られるかわからない非正規女性の犠牲の上に成り立っているのです。
カフェテリア制度育児補助
子どもを保育園などに預けて働こうとする希望社員に対して支払われる補助です。
このほかにも、子どもの塾、通信学習、習い事など教育に支出した費用といったものも補助があります。
・・・
これでもまだ資生堂はマタハラ企業とかおっしゃるんですか?
そしてなにより・・・
どうして子どものために仕事をやめられないんですか?
あなたにとってお子さんって、その程度の存在ですか?
共働きじゃないと生活できない?
スキルゼロでもクラウドソーシングを使えば、自宅にいながらお金は稼げます。
これだけで一家全員を養うのはムリですが、パソコン使ってある程度の時間を確保すれば夫の収入不足を補填するくらいはできます。
資生堂ショックは資生堂の子育てママだけでは終わらない。あなたは生き残れるか!?
あくまで可能性・・・ではありますが。
資生堂以外の企業も(最初は大手、やがては中小企業に至るまで)、女性労働者に対する扱いを変えてくることが考えられます。
女性に優しい企業の代表格だった資生堂が、それでもかなり優遇しているとはいえ
「甘えは許さん!ちゃんと働かないなら人材はいらない!」
と毅然とした態度をとったわけです。
これは1円でも経費を削りたい企業にとっては、「あの資生堂さんでさえああなんだから・・・」という絶好の大義名分です。
法律で定められた最低限のことは守るでしょうが、企業が任意で拡充している子育てママ向けのサービスは見直されてもおかしくありません。
だって、あの資生堂が先陣を切ったんですから。
資生堂は育児対象者の時短やシフトだけで話が終わっていますが、そうじゃない業界・企業は女性全体を巻き込んだ、もっと突っ込んだ是正がされるでしょう。
- 資生堂にならって育児休暇は短縮
- 残業や休日出勤に応じる社員の方が応じない女性社員よりシフトの希望が通りやすい
- 力仕事まで対応してくれる社員のほうが給料が高い
- 毎月生理休暇を取る女性社員より入社時から無遅刻無欠勤の社員が昇進する
- 私服で勤務する女性はクリーニング代がかからないからその分だけ給与を下げる
・・・などなど。
これはあくまで僕が勝手に考えている可能性に過ぎません。
でも、結構な確率で資生堂ショックに追従する企業が現れるのではないかと考えています。
人件費・福利厚生費をこれほど都合よく削れるチャンスはそうそうないからです。
まとめ
安倍総理は女性の支援を得ようと必死こいてますが、ここにきて女性に優しい企業が一石を投じました。
もし僕の予言が当たってしまって、それまで当然だと思っていた女性支援がなくなってしまったとき、自立していられるでしょうか?
子どもの有無、結婚の有無、性別に関係なく、企業もしくは社会に必要とされる人間でしょうか?
何もないなら僕がホラ吹きになるだけで終わりますが、もし起こってしまったら・・・
一度、考えてみてください。
追伸
筋道の立った批判は受け付けますが、感情論は要りません。
前向きな議論になる提言でしたら、ぜひコメントお願いします。