かほく市発 独身税が絶賛炎上中。
「結婚できない貧困層をさらに苦しめることになる!」
「若者が貧しくなってさらに婚姻率・出生率が下がる!」
「思想・自由の侵害で憲法違反!」
「今の若者は経済的に厳しく【結婚しない】のではなく【できないのだ】!」
「結婚した方が可処分所得は増えるし、税的な優遇・補助もある!」
・・・
と、ますます燃え上がって、収まる気配がありません。
渦中のかほく市が「いってない」の声明を出したあと、そのウェブページも削除して、その後完全黙秘に突入してしまったので、本当に発言があったのかどうかはわかりません。
ただ、子育てしている夫婦には、全面的に賛成まではいかなくても、
自分たちは日本の少子化解消に貢献している。
そのわたしたちがこんなに苦しいのに、独身者が自由を満喫しているのは不公平だ。
(叩かれるから言わないけれど)独身税の導入は賛成だ!
と思っている人たち、結構いるんじゃないかな、と思うんですよね。
そんな隠れ独身税賛成者の方たちに申し上げたい。
独身者は、あなたたちが思うほど自由を謳歌してはいません。
それどころか、あなたたち以上の苦労と不安を抱えています。
人を憎んで、妬んで、不幸になるのは結局、その人自身です。
家族がいる、子どもがいる。
その幸せを、思い出していただけると幸いです。
かほく市発「独身税」炎上事件をざっくりまとめる。
まぁ、いないとは思いますが。。
まったく知らない人のために、今回の騒動をざっくりとまとめます。
事の発端は、石川県の「かほく市ママ課」と財務省の阿久澤孝主計官の間で行われた意見交換会
ここで、ママ課メンバーが「独身税」の創設を提言したというニュースを北國新聞が報道したことで騒動がスタートします。
ママ課は市のプロジェクトの名称で、30~40代の女性7人が参加した。メンバーが「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」と質問したのに対し、阿久澤氏は「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と述べた。
当然、ネットで炎上。
かほく市は
8月30日(水)の北國新聞朝刊に、ママ課が「独身税」導入を財務省へ提案したとの記事が掲載されましたが、「独身税」の提案等を「ママ課」及び「かほく市」は一切行っておりません。
と声明を発表。
その後、この声明を掲載したウェブページは削除されました。
財務省主計局の阿久澤孝主計官も
「参加者の方から『独身でいるよりも家族でいる方が負担が大きくなるのは何とかなりませんか』という旨の質問があったと記憶しています。その質問に対して、私の方から『家族がいる場合は、配偶者控除や扶養控除があり、税の負担が軽くなっています。また児童手当などの給付もあります。むしろ独身ですとこのような控除がなく、税負担が重くなります』という現状をお話ししました。その上で、このような現状をどのようにしていくのか、さらに負担の軽重を見直すのかについては特にお話ししていません」
と釈明。
言った・言わないの泥沼に突入してしまいました。
北國新聞によるフェイクニュースなのか、かほく市と阿久澤孝主計官のもみ消しなのか。。
真相は闇の中です。。。
独身者がすでに払っている6つの独身税
TwitterもFacebookも、賛成派を見つけるのが難しいくらい独身税反対派が圧倒的。
この同調圧力の中で胸をはって賛成表明できるのは、イケハヤ氏と長谷川豊氏くらいでしょうか。。
ただ。
表には出さなくても、自由な時間を削られ続ける子育て夫婦が潜在的にこういった不満を持っている可能性は否定できません。
人間は「自分が優遇されること」に関してはおおらかですが、「自分が格差で不利益を受けること」に対しては、強い不満・憎しみを持ちます。
職場で独身社員が趣味や旅行の話をしているのを見ると、腹が立つ
SNSなどで「仕事頑張ってます」アピールをしているをしている若者が憎くて仕方がない
街で自分の欲しいものを持っている、使っている人を見ると、奪い取りたくなる
「自分たちは少子化解消に貢献しているのに、あいつらは日本を衰退させている」と憤ることがある
・・・
そんなこと、ありませんか?
もちろん、人並み以上の経済力を持って自由を謳歌している独身貴族もいるにはいます。
ただ、独身=自由人というのは、あまりにも短絡的です。
独身者は既婚者・子育て夫婦に負けないか、それ以上に苦しんでいます。
一人暮らし孤独税
まずは一人暮らしの独身者。
家を出るときはまだいいですが・・・誰も「おかえり」を言ってくれない暗い部屋に帰るさみしさは、ヤバいです。
仕事の失敗などで落ち込んでいるときは特に。。
家に帰っても家事を手伝い、子どもと遊び、疲れ切って眠る今の暮らしは確かに落ち着かないかもしれません。
だけど。テレビでもつけて、ソファーにゴロゴロしつつビールでも飲めなくても・・・ひとりぼっちよりはマシじゃないですか?
一人で食べるご飯の味気なさがまた孤独感をあおります。
たった一人、コンビニで買った弁当を温めるレンジの音と、カップラーメンをすする音だけが響く部屋。
独身者は、そんな食事をずっと続けなければいけないのです。
今の食卓と比べてみてください。
実家暮らしプレッシャー税・コンプレックス税
実家暮らしであれば、一人暮らしよりはマシかもしれません。
だけど、実家暮らしには実家暮らしの苦労があります。
ちょうど昨日の話ですが、妻が実家暮らしの友人とお茶を飲み、こんな話を聞いたそうです。
この歳で実家暮らしをしていると、家族ではなく「家を借りている他人」として扱われる
洗濯もご飯も、家族のタイミングにあわせればやってもらえるけれど、少しでもズレれば自分でやらなければいけない。
一人で自分のご飯を食べたり、自分の分の洗い物で洗濯機を回しているとき、言いようのない孤独を感じるそうです。
また。。。
鋼のメンタルを持った強者もいるでしょうが。。
ほとんどの独身実家暮らしは常に「早く結婚しろ」「お前はその歳になって結婚もできないのか」という無言(もしくは有言)のプレッシャーを受け続け、心をすり減らします。
家賃を入れ、「あくまでも対等」というスタンスを取る独身者もいますが、経済的理由等で入れられない人は、後ろめたさ・申し訳なさ・ふがいなさで自己肯定感や自己効力感を下げ続けてしまうこともあります。
何より。
親だっていつまでも元気なわけではありません。
いつかその時がきて、それでもまだ独身だった場合は・・・一人でカップラーメンをすすることになるのです。
既婚者の仕事代行税
僕が以前勤めていた職場は、
子どものいる女性は時短を使いまくり、シフトの希望休は100%通っていました。
その方が子どもの病気等で休めば独身者が急遽出勤し、その方が「働く」と言い出せば帰らされる。
その方はいくら当日欠勤しても評価が下がらないのに、独身者が体調不良で休めば評価が下がる。
・・・
そんな職場でした。
もちろん、そんな極端な会社はまだまだ少ないとは思います。
ただこれからは「働き方改革」「女性の活躍できる社会」のスローガンの元、中小企業であってもこういった子育て社員の優遇が進む可能性はゼロではありません。
そのとき真っ先に穴埋め要因にされるのは・・・ということです。。
少子化・日本衰退の戦犯扱いされる税
家同士が勝手に相談して、当日まで顔も見たことがない相手と結婚したというなら話は別ですが・・・
自分たちの意思で結婚して、自分たちの意思で子どもをつくったのに、なぜかその人たちから「人がこんなに苦労しているのに、なぜお前たちは少子化解消に貢献もせず一人でプラプラしているのだ!?」という理不尽な圧力をかけられる独身者。。
・・・
「離婚すればあなたも自由になれますよ」
なんて言った日には・・・挽肉になるまでボコられます。
子育ての幸せな思い出つくれない税
子どもが生まれたあの日
子どもが初めて「パパ」「ママ」と自分たちを呼んでくれたあの日
子どもから初めて「父の日」「母の日」のプレゼントをもらったあの日
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学・・・入学式と卒業式のたびに増えるアルバムの写真
子どもが彼氏・彼女を連れてきたあの日
新婦とバージンロードを歩いたあの日、手紙を読み上げられたあの日
孫できたと知らされたあの日、生まれたと聞いたあの日・・・
独身者には、こんな思い出はつくれません。
一人で死ななきゃいけない税
それぞれの家の教育方針・考え方・育ち方等々あるかもしれませんが・・・
人生の最期、結婚していれば妻もしくは夫が、子どもがいれば子どもが、もしかしたら孫も。
あなたとの別れを惜しみ、涙を流してくれます。
独身者は・・・
たった一人で死にます。
まとめ
今気づきましたが・・・
上記6つは、厳密には「独身者が払う税」というより、既婚者・子育て夫婦が還付される税、ということになるかもしれませんね。
とにもかくにも。。
確かに、子どもがいれば、お金がかかります。
自由な時間なんて、ほとんど取れません。
だけど・・・
独身者が与えられるいくらかの経済的・時間的余裕より遙かに大きなものをたくさん得ているのが結婚している人たちであり、子育てをしている夫婦ではないでしょうか?
これから先、夫婦ゆえの困難や子育ての上での苦労に遭遇したら。
独身者の自由をうらやむのではなく。
自分たちが、今、どれだけ幸せで、これからどれだけ幸せになれるかを思い出してください。
きっと、彼ら・彼女らに対して「大変だけど、お互い頑張ろう」と思えるようになるはずです。